宇宙産業が日本経済を支える1つの柱になる
20世紀に開発されたロケットは、その時代に可能だった技術を組み合わせ、より多くの人や物を宇宙空間に運べるように革新されてきました。しかし、それらのほとんどは「使い捨て」であり、膨大なコストをかけて、物や人を運ぶというのが当たり前の世界でした。
近年、多くのプレイヤーが宇宙産業に参入し、宇宙上で地球にデータを送る人工衛星や、無重力空間でしか実験・製造することができないような製品を作れる大きなモジュールでビジネスが活発かするにつれ、より高頻度・低コストに、多くの人や大きな貨物の輸送需要が発生してくると予想しています。
では、より低コストで大量のものや人を運ぶにはどうすれば良いでしょうか?
そのキーワードがロケットの「再利用」です。通常ロケットは、宇宙に運ぶものを先端に搭載し、複数段のロケットで宇宙空間に運びます。このロケット自体が破壊されず、所定の場所に着陸させ、次の飛行に利用できるようになりました。これらの取り組みは、ロケットを開発する航空宇宙開発を経験した人材だけでなく、近年、急激に発展してきたコンピュータパワーを組み合わせ、さらに、様々なバックグラウンドをもった人材と共に、実現されています。
しかしながら、本当に宇宙ビジネスや生活が身近になる世界を実現するには、さらなる技術革新だと私たちは考えています。
高効率・高性能な推進系の革新、小型化・軽量化による低コスト化、それを安全に再使用、長寿命化できる運用の仕組みなどを総合的に検討し、作り上げなければなりません。これらは、決してロケット屋だけで完成させることができるものではなく、様々な分野の人材が集まり、知識を共有しながら構築していくものだと確信しています。
私たちが今、直近5年で取り組もうとしている事業の核は、単段式宇宙往還 (Single Stage To Orbit)という考え方にあります。
発射から宇宙空間に到着するまで、ロケットを切り離さず到着し、荷物や人を分離、そのままの状態で地上に戻ってくることを実現します。
これにより、ロケット発射1回あたりのコストを極限まで減らし、二点間高速輸送や宇宙旅行、低軌道衛星の打ち上げミッション等に対応できるビジネスを作り上げていくことを計画していきます。直近5年はこの方式によるロケットの開発を実現するために経営資源を集中しながら、このロケットをベースにして企業や個人が宇宙でビジネスができる様になる基盤を構築していきます。