宇宙開発はもはや夢ではなく目標である
宇宙利用ビジネスは、世界の中でもIT産業の次に来る成長市場として、注目されています。
僕らが生まれた頃はまだ、漫画や映画の世界でしたが、ビジネスも生活もより、宇宙に関わる時代が今から20年後にやってきます。
2040年は、誰もが宇宙にアクセスできる時代となるはずです。
宇宙に関連した仕事に就くことも、自分にはまだ遠い世界のことに思えますが、決してそうではなくなってきています。
2015年、弊社代表 畑田が内閣府で、民間宇宙ビジネス振興に従事し始めた時には、国内で10社程度だったが、2023年現在、70社を超える宇宙産業分野のベンチャー企業が宇宙を利用した様々なビジネスを行っています。
1. 人や物を輸送する
輸送系の開発費用や初期費用は多くの企業が開示しておりません。ロケットの開発費が2,000億以上となっており、同等かそれ以上となります。日本では、イプシロンロケットやH2, H3ロケットの基幹ロケットをJAXAが開発していますが、将来、人や物を高頻度に輸送するロケットの開発は、民間企業が主導することを期待されています。
2. 人工衛星データ技術活用する
打ち上げた人工衛星から取得したデータを活用し、さまざまなサービスを行うビジネスです。身近な例としては、GPSなどの測位衛星、気象衛星「ひまわり」などの観測衛星、衛星を利用した通信や映像サービスなど。通信分野では、飛行機でWi-Fiが繋がるようになったのは、衛星インターネットが存在するからです。
3. インフラ構築・運用する
打ち上げた人工衛星の管理や操作を行う「地上システム活用」、打ち上げた後のメンテナンスやゴミ処理を行う「宇宙軌道上サービス」があります。
4. 宇宙旅行・移住・滞在する
海外で賑わいを見せており、2028年には140億ドル(約1.5兆円)になるとの予測されています。2023年には、SpaceXによる月旅行ツアーの開始が予定されています。
5. 探査・資源開発を行う
宇宙進出に欠かせない探査・資源開発系ビジネスは人が行う「有人宇宙探査」、探査機を利用する「無人宇宙探査」の2つがあります。探査・資源開発系は他の宇宙ビジネスと比べて、技術面での課題が多く、マネタイズが難しい領域になります。
6. その他
・宇宙ゴミの観測・回収ビジネス
・宇宙空間利用ビジネス
・宇宙保険ビジネス など
20世紀は、宇宙におけるほとんどの活動は各国政府機関が主導し、宇宙開発の名の下に、官需ビジネスとして実施されてきました。21世紀になり今までとは対照的に、国家ではない多くのベンチャー企業が国とともに活躍し、フロンティアを切り開いて大きなビジネス市場を生み出すという期待は、ますます大きくなっています。
その中で、SpaceXが最も成功した例として挙げられています。
世界の市場で見ても、多くのプレイヤーが、衛星から取得する地球上のデータを活用するビジネスであり、宇宙活動そのものをビジネスにしているプレイヤーは少ないのが状況です。
宇宙旅行・移住・滞在を実現するビジネス、月や火星の探査・資源開発を実現するビジネスなど、宇宙そのものを利用するビジネスを民間企業が行っていくために必要不可欠なのが、人や物を宇宙に運ぶ輸送です。
実際には、宇宙輸送の事業化を目指す企業数が少なく、20年間大きなイノベーションが起きていません。
理由は他の領域と比較すると、高い技術と資金力が必要で難易度が高いためです。
アメリカ合衆国で民間企業がNASAとの協業で輸送市場を切り開いている流れの中で、日本でも2022年7月に文科省ロードマップ検討会取りまとめとして、将来宇宙輸送システムを官民共同で開発される必要があることが記されています。抜本的な低コスト化(H3ロケットの1/10程度)を実現する総合的システムが不可欠であり、将来的に大きな民需が想定されています。
民間による宇宙輸送事業化を推進する協議会を踏まえ、民間中心の事業体制構築を目指し、2025年頃までに必要な要素技術を絞り込み、2030年代初めに民間主導で飛行実証を目指すこと、JAXAは民間の事業計画を踏まえた対話を通じて必要な支援を行うことが明記されています。
段階的な技術実証ステージゲートを設け、マイルストンペイメント、アンカーテナンシーによる民間事業者の能力構築支援を行うことも検討されています。
私たちは、宇宙でのビジネスや生活がより身近になる世界を実現するには、宇宙輸送分野のさらなる技術革新だと考えています。