この記事でわかること
単段式宇宙輸送機(SSTO)は、繰り返し使えるロケットです。ISCではその実現を目指しています。多段式のロケットと比べて再利用性が高く、開発費用や飛行費用の削減などにもつながります。このSSTO機がどんな特徴を持っているか、実現のために必要な技術などについて触れます。
- 単段式宇宙輸送機SSTOは、繰り返し使えるロケット
- 作るには、軽い機体とパワーのあるエンジンが必要!
宇宙が大好きで、航空宇宙分野に興味を持つ。
航空宇宙分野のエンジニア。
あいさん
ロケットの勉強を始めて、難しい単語がたくさん出てきて混乱してるんだ。まずはISCが目指すロケットのSSTOってなんですか?
しーさん
SSTOはSingle Stage To Orbitの頭文字を取ったもので、日本語では単段式宇宙輸送機と呼ばれているよ。
あいさん
単段式宇宙輸送機…ちょっと難しいな。宇宙輸送機は分かるけど、単段式って?
しーさん
よく打ち上げられているロケットは、途中で役目を終えた部分が切り離されて、不要な部分を捨てて軽くなるようにしているんだ。でも単段式はその切り離しを行わないんだよ。
あいさん
なるほど、そのまま捨てずに戻ってくるってことなのね!
しーさん
そうそう、切り離されるものが2段、3段など複数あるからそれらを多段式宇宙輸送機と呼ぶんだよ。
あいさん
でもロケットの部品って高いんじゃ?軽くすることは大事だけど、もったいない感じもする…
しーさん
確かに捨てるのはもったいないけど、軽くすることが最優先されるんだ。 例えばスペースシャトルの人が帰ってくる部分の重さは約78トン。打ち上げ時の重さは約2000トンほどだから、燃料や不要な部分がどれだけ重いかがよくわかるよね。
あいさん
それだけの差があるんだ!でも燃料も相当積んでるからね。軽くする理由がちょっとわかったよ。
しーさん
そうだね、軽くすることで必要な燃料も減っていくんだ。
あいさん
それにしても、ロケットの部品って高そう。
しーさん
そうなんだよー、だから再利用できると、開発費用が下がる。それに機体を作るのにかかる時間も短縮できるから、一度の飛行にかかる費用も減るんだよ。それが実現すれば、宇宙がもっと身近な存在になるってことだね。
あいさん
それでもなぜ多段式のロケットが主流なんだろう?
しーさん
それはエンジンの性能や燃料の搭載量の制限など、いろんな要素が絡んでくるんだ。詳しくはツィオルコフスキーの公式から導かれるんだけど、それはまた別の機会に話そう。 たとえば、再使用するためには新しい仕組みを取り入れる必要がある場合もあるし、大気圏突入の際の熱から守る構造なども、再使用可能な機体には必要な技術だよね。
あいさん
安全面も大切だもんね。
しーさん
それに加えて、再使用する場合は長寿命であることも求められるんだ。壊れやすいものじゃ意味がないからね。まとめると、高性能なエンジンと軽い機体が必要だってことだよ。
あいさん
なるほど、そこがポイントなんだね。少しだけロケットのことがわかった気がするよ!
まとめ
そのほか着陸はどうする?人が乗るための安全性は?と、たくさんの解決しなければいけない問題はたくさん…
こうした問題を解決し、私たちは何度も使えるロケットを開発しようとしています。
これまでに挙げたことに対し、既存の技術のみならず新しい技術はもちろん、異なる分野の考え方など利用することで新たなコンセプトの機体を作ります。
例えばエンジンにおいては、周りの空気を取り入れて活用するエアアディション方式の採用や高度に応じたノズルの変更が可能になる高度補償ノズル、燃焼効率を最大化するトリプロペラント方式の導入などを検討中。
それはどんなエンジン?どうやって軽くするの?新たな技術とは…?
順次、こうしたさまざまなトピックスについて紹介していく予定です。お楽しみに!