日本発の再使用型ロケット開発プロジェクト

Japan's First Reusable Commercial Rocket

「宇宙に行く」を日常に。
ロケット開発にスピードを。

そのロケットは、
宇宙開発を加速する。

宇宙をもっと身近な場所に。
人やモノを乗せて何度も飛び立つことができる
再使用型ロケットの開発に向けた挑戦が、
今、日本から始まっています。

将来宇宙輸送システムの開発スタイルは、
小さな試験を素早く実施し、
得られたデータを即座に活かすアジャイル開発です。
巨大ロケットを長時間かけて開発するこれまでの方法とは異なり、
飛躍的に開発スピードを高めることに挑戦しています。

PROJECT “ASCA”。
日本が外国の制度や技術を取り入れ、
冠位十二階など急速な文明化を遂げた飛鳥時代。
宇宙分野の黎明期とも言える今、
分野や国境を越え、技術を吸収し、スピーディな成長を遂げたい。
そんな想いから初号実験機の名前は“ASCA hopper”としました。

高度10mに飛び立ち、再着陸する。その小さな飛躍は、
地球と宇宙をロケットが毎日行き来する、未来への第一歩です。

ASCA PROJECT OVERVIEW

再使用型ロケットの
実現に、
アジャイルで挑む

世界に先駆けて再使用型ロケットの開発に挑戦してきた日本。
将来宇宙輸送システムはその技術を継承し、民間主導による国際競争力のある宇宙輸送サービスの実現を目指しています。
その実現にむけ、独自のアジャイル開発プラットフォーム「P4SD」を通じ、企画・設計・製造・試験までを短期間かつワンストップで実施する体制を確立。
2040年における単段式宇宙往還機の社会実装にむけた段階的な飛行実証に、確かな技術で挑戦します。

P4SD PLATFOAM FOR SPACE DEVELOPMENT

P4SD" P4SD"

OVERALL ROADMAP

ASCAプロジェクト
全体ロードマップ

2024ASCA hopper

ロケット開発を、もっと迅速かつ柔軟に。独自のアジャイル開発プラットフォーム「P4SD」を実践し、1t級のエンジンとロケット機体をわずか一年間で開発・実証するプロジェクト。高度10m・滞空時間10秒の機体離着陸をゴールに見据え、最小限のコストと最大限のスピードで様々な開発試験を実施。打ち上げたロケットが損傷なく安全に帰還し、再び宇宙へ飛び立つことのできる技術の実現にむけて、取り組むべき課題を抽出する。

2027ASCA 1

ASCA hopper PROJECTで得られた開発・整備・運用上の課題を克服し、あらゆるモノを高速輸送する、新たなモビリティインフラの実現を目指す。地球上の二地点間における物資の運搬にとどまらず、宇宙空間へ向けた100kg級小型人工衛星の打ち上げを実施。これらの実験を通じ、大気圏の壁を越え、従来より圧倒的に低コストで縦横無尽なモノの移動を繰り返し行える技術を確立する。

2032ASCA 2

高頻度有人宇宙輸送サービスの実現にむけた研究を加速。東京・ニューヨーク間をわずか90分で移動できる高速二地点間輸送(P2P)や、地球を周回しながら無重力空間を体験できる宇宙旅行、軌道上の宇宙ステーションとの往来など、様々な旅客サービスを段階的に実装する。高度な安全基準をクリアするための技術開発と同時に、機体の小型化・軽量化を行い、宇宙輸送コストの革新的な引き下げを成功させる。

2040ASCA 3

目指すのは、1,000回以上繰り返し宇宙へ飛び立つことが可能な世界初の単段式宇宙往還機(SSTO)。約50名の乗客と物資を載せて地球上のあらゆる場所や軌道上の拠点へ運び、1日2回の高頻度でターンアラウンドできる宇宙輸送システムを実現。地球上の誰もが、国境のみならず、地球と宇宙の境界さえも越えて自由に移動できる手段を確立し、宇宙アクセスの民主化を達成する。

DEVELOPMENT & TESTING FLOW

ASCA hopper
開発試験フロー

2024

FM機体開発

エンジン開発

4

電装系単体試験

バルブ単体試験

5

電装系振動試験

試験用供給系
組立開始

点火器単体試験

6

電装系結合試験

インジェクタ
単体試験

通信試験

組立完了

7

機体組立開始

LN2流し試験

SJスラスタ
単体試験

エンジン単体
燃焼試験

9

電装系統合試験

10

SJ 2軸/3軸同時噴射試験

統合燃焼試験

LN2流し試験

全機特性試験・
落下試験

地上離着陸試験

MISSION ASCA 1

MISSION HIGHLIGHTS

ASCA hopper
ミッションハイライト

激しい振動に耐え抜く

電装系振動試験

ロケットの打ち上げ時には、エンジンの燃焼によって激しい振動が発生する。ロケット用の機器のみならず民生品も可能な限り採用し、一定の条件を満たしていない機器のみ耐性試験を行うことで、開発コストとスピードを両立する。

次世代の燃料に着火する

点火器単体試験

エンジンに着火するための点火器の性能を検証し、ねらった性能を実現するための調整を実施する。設計においては、昨年実施の小型燃焼試験で開発した点火器の設計思想を引き継ぐことで、開発期間の短縮を図る。

燃料の供給を最適化する

インジェクタ単体試験

エンジンの燃焼において重要な役割を果たす、燃料の噴霧装置であるインジェクタ。本ミッションに合わせて噴射口の孔径や孔数を最適化し、噴射された燃料の角度や噴射タイミングのばらつき、噴霧状態を検証する試験を実施する。

超高温に耐える性能を確保する

エンジン単体燃焼試験

製造したエンジンを点火器などに取り付け、着火時や着陸時にエンジンの推力を制御する際の挙動を評価する。再生冷却を使わず、断熱材を効果的に用いることでスピーディーな開発を低リスクで実現し、必要な耐熱性能を確保する。

ロケットを無傷で帰還させる

落下試験

再使用型ロケットの実現において、着陸の衝撃をやわらげ、安全に帰還させる技術は必要不可欠。アルミニウム製のハニカム材を衝撃吸収材に活用し、50cmの高度から機体を自由落下させ、着陸性能を検証する。

再使用型ロケットを実装する

地上離着陸試験

ASCA hopperのミッションの集大成となる試験。全備重量750kgの機体を高度10mまで打ち上げ、10秒程度の飛行実験を行い、推進性能や離着陸性能を総合的に検証する。

COMPONENTS

機体スペック

主要諸元
直径 2000 mm
全長 4050 mm
乾燥質量 663 kg
全備質量 743 kg
飛行時間 10 s
飛行高度 10 m

機体スペック